夏はすぎます。風はあざみます。
本屋のフリー冊子、100冊文庫をさまよいます。
カドフェス!ナツイチ!新潮文庫の100冊漁りの季節だぞ!えいやーーはーーー!!!
新潮文庫の100冊 - Wikipedia
なにげにすごく歴史があるんですね、夏の100冊文庫系フェア。
知らない方にざっくり説明すると、毎年この時期になると新潮社、集英社、角川あたりの出版社が
この夏おすすめの文庫100冊くらいをまとめたフリー冊子を作っていて、各本屋さんで配っているのです。
これが配られはじめているのを見ると本好き的には、あぁ夏が来ましたね!ってうきうきして回収したり
フェア展開されている文庫を大量購入したりしちゃうのです。
このね、冊子を読むだけでね、楽しい。
各出版社の変則ルールのビブリオバトルを見ているような感じです。
もう300冊(だいたい)全部買いたい。
とはいえ、年々本読む時間も少なくなっており
積み本を重ねるばかりになってきていますので
今年は3つの出版社のオススメの中から、苦渋の思いでほしい本を10冊にしぼりました。
まじで苦渋の思いでした。
そんな苦渋の課題図書10冊をせっかくなのでシェアしようと思います。
ナツイチ文庫から
星に願いを、そして手を 青羽 悠
夢をかなえた人、夢から逃げた人。
バラバラになった幼馴染が絆を取り返すお話。
小説すばる新人賞、最年少受賞作。
好みがどんどん保守的になって、好きな作家の好きな本ばかり繰り返し読むようになってきているので
今、若い人のキラキラした作品を読んでみたいとおもったのです。
お話テーマもね、ライフステージが断絶されて、あのときのままの関係ではいられなくなった
今の年齢にて読むとささる感じがすごくするのだ…
ラメルノエリキサ 渡辺 優
これも小説すばる新人賞受賞作なんですね…、賞レースに弱いなわたし…
「やられたらやり返す」がモットーの女子高生ヒロインの復讐劇…って
すっごく清々しそうで、気持ちよく読めそうだ!とわくわくしております。
箱庭図書館 乙一
読者投稿作をを乙一さんがリメイクした短編集というのがめちゃくちゃ興味あります。
アイディアの原石が、プロの手で商用作品にまで昇華した姿を見れるのって貴重な感じ…。
あとなんか「夏と花火と私の死体」がすごく好きなので、夏だ!乙一さん読まなきゃ!というテンションです。
「女子高生が趣味にしてたらめちゃくちゃかっこいい趣味ってなんだ?」という友達とのバカ話に上った俳句!
芸人さんというのは話を聞いて、視聴者にわかりやすく翻訳するすべにおいて一流のひとなので
これで私もかっこいい女子高生になれるのでは?と期待しております。(女子高生にはなれません)
カドフェスから
いや、これはただただ粗筋が好みだったのだ…
団地に住む主婦が殺された事件をきっかけに7年ぶりに集まった「悪い仲間」たち
かれらがこの事件をきっかけにどんどん殺されていく
きっと過去に仲間割れしたノラが帰ってきたのだ…!という…
なんだろう、善性以外の人間の部分とか、疑心暗鬼とか…
めちゃくちゃ好きなのです…
春琴抄 谷崎 潤一郎
今回一番プレゼンががよくて、いつか読もうとはおもってたんですけれど、買わなければ…!絶対に買わなければ…!!となりました。
「何卒わたくしにも災難をお授け下さりませ」って一文を抜くセンスが本当に最高にいい。
盲目の師匠への陶酔から自分の両目を針で突くとか、最高にぞくぞくする…読みたい…
…ただこれ、角川がだしてる同タイトルの本の装丁が可愛くて困るんですよ…
角川のこのシリーズの装丁、めちゃくちゃ好きなんですよね…
いやでも春琴抄味があるのは新潮社のほうかな…?
めちゃくちゃ悩みます…。
午後の恐竜 星 新一
社会人になっていま、若いころよりも短編小説に惹かれるようになったのです。
短編といったらば、星新一なのです。
恐竜…好きなんですよ、夏といったら少年と恐竜なんですよ…
星新一の 午後の恐竜を 夏に読む ってすごく夏休みな感じがしたんです。
鳥類学者 無謀にも恐竜を語る 川上和人
同じく恐竜、夏休みの楽しみの一つってラジオ、夏休み子ども科学電話相談を聞くっていうのがあるかなとおもうんですけれど
それに近い期待値があります…!
好きなものを語る大人って可愛くて、かっこよくて、魅力的ですよね…
大人の中の子供に会える感じがする…
山本周五郎賞というのをなんかすごく信頼してるんですけれど、この作品もその受賞作です。
アニメにもなった、氷菓の作者の米澤穂信さんだし、
紹介文の一文「この短編集はもはや完璧としかいいようがないーーー。」もすっごいパワーワード。
読むしかねーなと思いましたです。
残るは食欲 阿川 佐和子
働くようになって、1人暮らしをするようになって、自分の稼いだお金で自分が食べるものを買うようになって
ごはんというものへの物の味方がめちゃくちゃ一転したんです。
食欲前回、今日も幸せ。食欲こそが人生だ。極上の食エッセイ。
…これ読んだらまたごはんが好きになるのかもしれないぞ…!ってわくわくしている文庫です。
ピックアップしてみて
ビブリオバトル的には、新潮文庫の勝ちだなぁと、正直おもっています。
やっぱり、その本の魅力って、その本の一文を抜き出すのが一番伝わってくるかんじでした。ハイパーキャッチャー!
また新潮社の方の抜き出す1文のセンスがいいんだ…
とはいえ、角川、集英社も各社のカラーがでていて楽しかったです。
角川はキャラクターものがやっぱりめちゃくちゃ強い!
冊子は冒頭から「君の名は」で一躍有名になった新海誠監督のこの夏の最新作、「天気の子」
この映画の原作小説を映画公開(7/19)、小説出版(7/18)に先駆けて試し読みできる仕様になっています。
多分これだけでファンは手に取る価値があります。
ここから、新海先生の既刊の紹介、そして「時をかける少女」や「ぼくらの七日間戦争」「サマーウォーズ」といった
青春小説の金字塔や「涼宮ハルヒの憂鬱」「あの日みた花の名前を僕達はまだ知らない」といったライトノベル、アニメから
改めて出されたシリーズと出版社のカラーが強いタイトルが出てきます。
角川はホラー文庫も面白い。好き…。
私があまりこのあたりのラインナップを読みたいテンションじゃなかったので、ピックアップ少なかったですけれど
好きな人は好きなんじゃないかな…
ただまぁこのあたり好きな人はすでに全部読んでそうな感じはありますw
集英社のナツイチ文庫はわりとライトノベル出身のひととか、比較的作家として若い人とか
あまり他の文庫ではピックアップされない作家さんがいて面白かったです。
星に願いを、そして手を 青羽 悠
ラメルノエリキサ 渡辺 優
あたりは読んだことのない作家さんだから、新しい物を読んでみたくてピックアップしました。
めっきり新しい作家を漁るということをしなくなった社畜社会人的には世界が広がるきっかけになってすごくありがたい。
有名どころの堅いところでまだ読んでないところを漁るのも安心感があって楽しいんですけれど
せっかくのこういうお祭り騒ぎですから冒険もしたいですもんね
えへへ、めちゃくちゃ楽しみです…!
本は楽しい…
お察しの通り、100冊文庫というのは新刊だけでないし、毎年すべてのラインナップがかわるわけでもないのです。
たとえば「星の王子さま」なんかは3つの出版社がすべておすすめにいれていたりして楽しかった。
そんな訳で、もう読んだことのある本もさすがにいっぱいピックアップされていたりするんですね
せっかくだかた今年の100冊文庫のもう読んだことある本、今年読んだ本をあわせた10冊ピックアップを
夏の終わりあたりにできたらいいなぁと現在夢想しております。
夢だけはみる、クノさんでした。
本はいいぞ…。